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大阪地方裁判所 昭和47年(わ)1812号 判決

本店所在地

堺市向陵西町四丁一二番五号

港南株式会社

代表者代表取締役

疋田耕造

本籍

新宮市新宮七二四三番地

住所

堺市復元町四丁三番三七号

港南株式会社代表取締役

疋田耕造

昭和四年一月一日生

法人税法違反各被告事件

出席検察官

田辺信好

弁護人

丸尾芳郎

主文

被告人港南株式会社を罰金二四〇〇万円に、

被告人疋田耕造を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人疋田耕造に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人港南株式会社(昭和四七年三月二四日以前は株式会社港南石油商会と称した)は、堺市向陵西町四丁一二番五号に本店をおき、石油製品、自動車部品の販売等を業とするもの、被告人疋田耕造は、右港南株式会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人疋田耕造は、被告人港南株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、被告人港南株式会社の昭和四三年六月一日から昭和四四年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が一九三、三一五、五五三円で、これに対する法人税額が六七、四五〇、二〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上一部の事業所を前記会社の従業員名義を使用して、他人に帰属する事業であるように仮装し、同事業所における売上げおよび仕入れ等を簿外とするなどの行為により、右所得金額中一九〇、九三四、五六五円を秘匿したうえ、昭和四四年七月三一日堺市南瓦町所在堺税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二、三八〇、九八八円で、これに対する法人税額が六六六、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税六六、七八三、八〇〇円を免れ、

第二、被告人港南株式会社の昭和四四年六月一日から昭和四五年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が一五五、三三三、三一六円で、これに対する法人税額が五六、六八八、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中一四九、五四六、九八〇円を秘匿したうえ、昭和四五年七月三一日前記堺税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五、七八六、三三六円で、これに対する法人税額が一、七三〇、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税五四、九五八、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

一、堺税務署長作成の各法人税確定申告書謄本(二通)

一、収税官吏の次の者に対する各質問てん末書

涌井昭(三通)、島田衛(五通)、尾上計士、島津素行

一、涌井昭の検察官に対する供述調書

一、島田衛の検察官に対する供述調書

一、次の者の作成にかかる各確認書

涌井昭(四通)、島田衛(四通)、平井唯夫(二通)、太田文男、窪山勇雄(二通)、立川滝康、近藤恵彦、堀内快男、平賀謙次、上川英、藤木洋一、安部常久、藪崎忠男、矢沢叔夫、中村義孝、奥村忍(二通)、原田利雄、吉川キヨ子、岡田重光、並木礼三、

一、次の者の作成にかかる各回答書

静岡県沼津財務事務所長、岩国県税事務所長、和気県税事務所長、北川二郎、宮本栄治、小川力、西光義、伊藤博

小涌務(二通)、山田勇、浅田英夫、有限会社北川石油、川本賢一、森春時、寺井秀富、坂本哲夫

一、次の者の作成にかかる各証明書

堺税務署長(三通)、生野税務署長、葛城税務署長(二通)、枚方税務署長(二通)、瀬戸税務署長(二通)

一、大蔵事務官小山和男作成の各調査書類(記録第三一の一、二、四、五、七号)

一、大蔵事務官小山和男および同 田俊雄共同作成の調査書類(記録第三一の三号)

一、収税官吏の被告人疋田耕造に対する各質問てん末書

一、同被告人作成の確認書および嘆願書

一、同被告人の検察官に対する各供述調書(二通)

(法令の適用)

被告人港南株式会社の判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条、一六四条一項に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罰金額(ほ脱額相当)を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金二四〇〇万円に処する。

被告人疋田耕造の判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用して同被告人に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

(裁判官 梶田英雄)

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